ナンジ様に頂いたカイレイ小説/2004.5.

薔薇の記念日


百貨店のアロマ・ショップで、それを見つけた

高価なそれは、その香りとあいまって、すぐに彼を連想させた

とても高価かったか、これ以上に、彼にふさわしいものはないと思い、すぐに店員を呼びつけた

薬瓶より小さい、ごく小さい小瓶と、シンプルなアロマランプを、真っ白い箱に詰めてもらい、薄紫色の包装紙に、金のリボンをかけて包ませる

女性へのプレゼントだと疑わない店員は、サッと何種類かの造花を取り出して、当たり前のように、自分に選ぶよう求める

造花といっても、100円均一で売られているような、貧祖なものではない。
光沢のある、薄いレース生地で出来た繊細な花びらに、極小の小さなビーズの縁取り。がくや茎葉の部分も、キラキラと光るスパンコールがちりばめられ、ちょっとしたコサージュのように上品で、この店の高級志向の高さが伺われる

種類も豊富で、きっと自分の買い物に来た貴婦人たちや、自分のようにプレゼントを求めにきた紳士たちは、真剣に悩んでしまうであろうほど、全て素晴らしいものだった

でも、迷わずに言い切る

「紫のバラでお願いします」

二人並んだ店員は、かしこまりましたと頭を下げて、こう繋げた

「紫のお好きなお方に差し上げるのですね」
「さぞかし、品の高い女性なんでしょうね」




そう、このプレゼントのお相手は、プライドが高くて上品で、繊細で傷つきやすい

この世で一番美しい、紫の薔薇のような


わがままなお姫様




突然に、はいと手渡されたプレゼントに、一瞬驚いたように目を見張り、すぐにいつもの冷たい微笑を浮かべ、もったいぶって受け取る。

「なんだ、オレの誕生日にはまだ早いぞ」

「ええ。クリスマスもまだ当分先ですね」

じゃあなんでだ…そう続けようとする彼の唇を、そっとふさぐ

そっと触れ合うだけのフレンチ・キスを、軽く数回

鼻先に、ふうわりと薔薇特有の香りがした

その香りをもっと感じたくて、彼の肩を掴み、深い口付けをする

いつもなら、酷く抵抗をされ、下手をすれば唇を噛み切られかねないが 今日は、手にしたいかにも繊細で壊れやすそうな包みのせいか、抵抗する気分ではないのか、戸惑いながらも、わりとすんなりと受け入れられる。

「…プレゼント、開けてみて下さいよ」

鼻先がぶつかり合うほどの至近距離

「…仕方ないな…お前がそう言うんなら…」

そう言う彼の額に、小さくキスをして離れる


多分自分は、今相当満足気な顔をしているだろう


かなり嫌々、もったいぶった仕草をしながらも、造花は歪めさせないように優しく取り、柔らかいリボンに折れ目がつかないようそっと引き、包装紙を破かないよう慎重に取るその指先は、自分からのプレゼントを大切に扱っていた。

白い箱をあけるときに、シールが上手く剥がせず、箱の端がめくれてしまったのに一瞬顔を歪める

そのがっかりしたような、悲しそうな表情が妙に幼く見えて、思わず小さく笑ってしまった

プレゼントのほうに意識が行っている彼は、そんな自分の微笑みに気づかず、すぐに無表情な顔に戻り、箱の中から、ちいさな瓶と、変わった形の電気スタンドを持ち上げた

「…何だ、これは?」

そういう彼の手から、サッとプレゼントを取る。

「アロマですよ」

使い方は、店の店員に一通り聞いていたので、手早くコードを繋ぎ、アロマを受ける部分に水を差し、ランプをつけるためスイッチを入れた。

たちまち、乳白色のシンプルなアロマランプから、淡い黄色い光が漏れる

ランプの方は先にセットしておいて、彼の目の前で、アロマオイルの小瓶を開ける。

プラスティックの瓶の蓋がカキッと音を立てて、するりと回る


少しずつ蓋が外れる


あたりに、薔薇の香りが広がる


「このアロマオイルが、貴方そのものだと思ったから、買ったんですよ」




高貴で、気高い、薔薇の香り




「このオイルは、普通のローズマリーなどから作られる、薔薇の香りの香水やアロマとは違う、完全に薔薇のみから抽出されたオイルだそうです」

アロマランプに、2・3滴落として、すぐにきっちり蓋を閉めた

薄く、薔薇の香りがランプの光に乗って部屋に漂いだす



「この15mlの小瓶1本分のアロマオイルを作るためには、トラック一台分の薔薇が必要なんだそうです

ねぇ、レイ

まるで、貴方そのものでしょう?」



そんじょそこらの薔薇の香りではない、濃厚な、純粋な薔薇の香り。

ただの薔薇とは違う、もっと高貴で、もっと気高い紫の薔薇

そんな彼そのもの




「…お前、それだけで衝動買いしてきたのか?」

記念日でもないのに…と呆れる彼に、笑ってこう繋げた


「じゃあ、今日は薔薇の記念日にしましょう」


そういって、彼に気づかれぬよう、こっそりテーブルクロスのかけられたテーブルの下に隠しておいた、薔薇の花束を差し出した。

表情を取り繕うことも忘れて、驚愕したまま固まってしまった彼に、薔薇の花束を抱かせて、その頬に音を立てて口付けを贈る

「…ね?」



アロマランプに張った水が温まったようで、急に上品な濃い香りが、音も立てずに広がる

彼と、自分を包むように、濃厚で上品な、薔薇の香りが部屋を満たす



「…『サラダ記念日』じゃあるまいし…」

「ああ、そんな本ありましたね。俳句をまとめた本でしたっけ?」

そんな悪態をつきながらも、彼はまんざらでもないようで


珍しく、彼のほうから、口付けを誘ってくれた


紫の薔薇そのものの、気高い彼からの気まぐれの口付
ごく短く、薔薇に口付けしたように、冷たく、繊細な感触が、僕の唇に残った




<後書>

こんな耽美なカイは嫌だぁぁあぁぁぁぁあぁぁっ!!!(書いてからほざくな…)
うわぁ、なんかカイがおかしい人になってしまいました(焦)
刃物類は間に合ってます!!ウイルスさんも十分間に合ってます!!!お気に障った方、申し訳ございませんが、見なかったことにして、記憶から黙殺してやってください(ぶるぶる)
間違ってる!!こんなカイ間違ってる!!!(自分で言ったら世話ないです)

こんな小説…お礼小説として差し出すなんて…本気で気が引けますが…
イベントの協賛様をしてくださいました、しかく様に押し付けさせて頂きます…
ちょっと、左京×マリナは頑張ってもかけそうにないので(MAX見たことないため、実は生左京(ナニそれ)を見たことがなく、マリナについてもよく知らない/減)カイレイ(本人そのつもり)です。

企画段階の相談から、パンフの漫画書き、景品・コス衣装の提供まで、他方に渡ってご協力・助言・お助けくださり本当にありがとうございました!!


この小説の中に出てくるアロマオイルですが、本当にあります。私がアロマランプ購入するときに教えていただきました。
ものすんごく高いです(そりゃ、トラックいっぱいの薔薇と同じ価値ですから…)。一滴500円とか、そんなレベルなんじゃないでしょうか…
それですぐにレイを連想しました(笑)
それをポンって買えちゃうわけですから、この話の二人は、もう成人しているくらいの設定です。
小学生がそんなん買おうとしたら、お店の人が思いっきり引きますよ(爆笑)

ちなみにこの小説を書きながら、焚いてるアロマランプ。香りはグレープフルーツピンク。セルライト除去の力を助ける香りで、ダイエット効果があります
ちなみにこれはそんなに高価なオイルではないです。オイルの原料の元となるものが液体だと抽出がしやすいから、値段が安価になって、逆に花とかが原料のものは、沢山原料が必要になって、その分値段が上がるとのことです。
あ、ちなみに雑貨屋さんとかで売ってるアロマオイルで、値段が安かったり、全部の種類のオイルの値段の差があまりないものは、人工的に調合されて作られた香りだったりすることがあるそうです。
ろうそくとかのだと、火事や酸欠の心配があったり、消すときにどうしても煙くなってしまうけれど、ランプは電気で安心。しかも煙くさくならないから、紙で散らかりやすい同人人に最適!リラックス効果もありますよ!!(そこまでして癒しをもとめるな)

あとがきが無駄に長くなってしまって申し訳ないんですが…
背景の色が紫というより青に近いのは、ナンジの生息する某県の、花博で見た、青い薔薇の色にちょっと似ていたからです。青というより紫に近い薔薇でした。これがすっごいいっぱい咲いてたら、きっとレイの庭みたいになるのだろうなと考えながら眺めてました。
実際は青い薔薇は人の手が加えられすぎていてとても病弱らしく、あまり大量生産には向かないらしいですが…

そのとき青い薔薇のソフトクリームを食しました。紫っぽいのを期待していたのに、普通に水色でがっかり…
味は…薔薇の香りの石鹸でも口に含んだ気分でした(味はしませんが、薔薇のにおいが…)



フレメで仲良くして頂いてるナンジさんから、ナンジさん主催のイベントの協賛のお礼で頂いたものです!
大した事してないのに、こんな素敵なブツ頂いてしまって…!カイが!カイが!思わず笑ってしまう位、格好良いのです!!vとまどい気味レイさんにもめろめろ…vV
背景色と文字色は頂いた時と同じ色です。あとがきも面白いので原文のまま…(笑)。

素敵な小説をありがとうございましたv




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