1027年
 1月 地獄巡り→修羅の塔 /狩火・桃織(隊長)・朱可・七枝(初陣)

 志誠→体909/技458(成長終了)
 狩火→体851/技679(成長終了)
 桃織→体902/技529(前月より変動なし)
 朱可→卑弥子・太照天・石猿 体871/技359(前月より変動なし)
 七枝→不動明・芭蕉嵐・白鏡・魂捧げ・光無し・盾割り・火土祭り 体382/技93

 年が明けて1027年です。

 七枝が初陣です。
 狩火には、初陣の七枝の補助をしてもらう為に、今月は討伐隊長を桃織に任命する、と志誠は月の初めに言い出しました。そして、討伐計画についての打ち合わせを行う際に、志誠は桃織に囁きました。
 「今回の討伐で、朱点を打て」と。
 驚いて志誠の顔を見る桃織に、志誠は声をひそめて先を続けます。
 「あなたにしか頼めないの…」
 恐らく、狩火が討伐隊長だったら、志誠はこの話は出しませんでした。娘の七枝が初陣だったし、気の弱い所がある狩火には、いざと言う時の決断を下せない可能性があったからです。志誠の息子の朱可では、まだ5ヶ月で隊長の荷は重いと思いました。初陣の七枝は問題外です。そこで、桃織に白羽の矢が立ちました。桃織は生来の気の強さに決断力もあって、討伐の時には情に流されずに冷静に事態を見、決断を下す事が出来ると思ったからです。
 志誠には、少し前から考えている事がありました。

 この頃は、朝廷は「百詠家を上手くとりこんでその力を利用しよう」と言う貴族の派閥と、「百詠家の力は後々手に余るので今のうちに始末しよう」と言う陰陽寮の派閥とで意見が分かれていました。特に、1025年3月の選考試合で直に百詠家と対峙した、阿部清明は百詠家を特に危険視していました。それは、百詠家の人間の人格云々ではなく、百詠家が朝廷に取りたてられる事になったら、自分達の立場が危ういかもしれない…と言う危惧です。あれだけの力を持つ一族が、貴族達の言いなりにでもなったら陰陽寮の、自分の立場が危うくなるのは目に見えていました。
 阿部清明は、朝廷の要請に応じない今の内に、百詠家を消す事が出来ないか…と画策するようになります。
 折りしも、都は一応復興はしたものの、ここ一年ほどは不況で職がない。職がなければ金が手に入らない。金が手に入らなければ食料が…と言う悪循環が起きていました(実際、プレイ中の1026年は、妙に無職率が高かったのです…)。鬼達が跋扈して都の外に出られないから流通も滞りがちでした。この状況を阿部清明は利用する事にしました。
 「鬼達を、鬼の首領の朱点を討ち果たす力がありながら、百詠家は中々それをしようとしない」
 「本当は朱点を打つつもりは無いんじゃないのか」
 「朱点と結託して、いずれ、京の都を鬼と自分達の一族でのっとるつもりなんじゃないのか」
 …などと言う噂を、京人の間に少しずつ流して行きます。
 苦しい時は疑心暗鬼になるのが人の常。京人達は、その噂を信じ込みました。今の都の状態は、百詠家が朱点を打たないせいだ、俺達がこんなに苦しいのは百詠家のせいだ。百詠家さえいなければ都は平穏になるんじゃないのか。
 1026年末辺りから、京人の百詠家に対する態度は、段々と厳しいものに変わって行っていました。更に、朝廷からの再三の出仕要請も強くなって来ており、志誠は自分達はもう、長くは都には住めない…と言う事を肌で感じていました。

「月の終わりに、イツ花と二人で皆と合流するわ。そのまま、都を離れましょう」
 秘密裏に少しずつ志誠は、都を離れる準備を進めていました。前月に狩火が「イツ花を自由にして欲しいと昼子様に頼みたい」と昼子との交神を願い出た時に容認したのは、この計画があったからでした。イツ花が自分達の側に来るのならば、自分が進めている計画も進めやすくなると判断したからです。
 「…今月は討伐にも4人で行けるし。七枝が少し心配だけれども…」
 と、志誠は言葉を一旦切ります。七枝は生まれつき目が見えない子でした。
 「あの子は大丈夫」
 桃織は、力強く返事をしました。
 「私も、兄さんも七枝を守るわ。…だから、しのぶ様は手はずを整えてちょうだい」

 そうして、桃織は討伐隊をひきつれて、地獄へ…修羅の塔へと向かいました。 

 修羅の塔を上へ上へと上がり、初陣の七枝を鍛えます。桃織は、志誠の言葉に頷いたものの、本当は少し迷っていました。本当に今月で朱点に挑んで大丈夫なのか。今月・来月と七枝を鍛えてから挑む方が確実なのではないのか。…けれど、志誠の言葉に、もうあまり時間が無いことも感じ取っていました。桃織も京人が百詠家に向ける不穏な気配を感じ取っていました。まだ余裕があるならば、こんな急に「朱点を打て」などと当主は言って来なかったはずで、このタイミングだからこそ勝算があると当主は考えたのだ、と思いました。
 一番心配していた七枝は、自分からの攻撃はたまに外すものの、途中で奥義”しのぶ鏡返し”を復活。天性の勘の良さで、襲ってくる鬼を果敢に切り返していました。

 「これから、朱点童子に挑みます」

 修羅の塔の6界で、桃織は討伐隊の皆に宣言します。
 驚く皆に、これは当主の志誠が決めた当主命令であること、朱点を討ち果たした後に都から逃げる手はずが整っていること、朝廷や京人の最近の不穏な状況…などの話をして皆を説得しました。
 「だから、今月でないといけないの。七枝には…初陣で無理させるけど」
 桃織の言葉に、七枝は微かに微笑んで「大丈夫」と応えました。
 「母さんが、決めた事なら…」と朱可。
 「けれど…」と、最後まで難色を示したのが狩火でした。
 「でも兄さん、このまま日延べしていては、朱点を倒す前に私達が京の人間に殺されてしまうかもしれないわ」
 と、桃織。
 「当主様は、『イツ花も必ず連れてくる』と約束して下さったわ。今しかないの」
 桃織の懸命な説得と、娘の七枝の「父様、私は大丈夫だから」との言葉に、狩火も最後には折れて、朱点に挑む事になりました。


 朱点&八ツ髪戦直前の討伐隊。
 基本データ。
 

 体水は妹の桃織に負けますが、狩火(剣士)が一族で一番の技力自慢です。

 心技体
 

 七枝の体水だけは800越えるように増強剤を使いました。
 朱可の技土の伸びなさよ…ここに来て300点台って…。

 装備
 

 朱点・八ツ髪戦では、まず補助技から…とかけていたら、八ツ髪の寝太郎で朱可が眠ってしまいました。踊り屋なのに術耐性が弱い…。それ以降、寝太郎はかけてこなかったので、一人が回復役であとは梵ピンをかけて全体の攻撃力を増強。最後には七枝に”双光しのぶ斬”を二度ほど放ってもらいとどめをさしました。…実は双竜の薙刀を持って来ようと思って忘れていました…。
 戦闘終了後に、朱可が”夢恵果音頭”復活。

 お輪さんを解放しました…
 

…うーん…初代に似てる子は居ないですね(苦笑)。色は七枝が似てますか。狩火の髪が水髪だったら、初代に少し似ていたかもしれませんが。

 感動の再会を経て、阿朱羅戦へ。
 敵が一人なので、朱点・八ツ髪戦よりは楽かと。とにかくまずは攻撃力を上げて、ダメージを受けたら攻撃より次の手の子がすぐに回復優先。そうやって、しばらく攻撃を繰り返していたら、阿朱羅が業ノ火・輪ノ火を使い始めました。先ほどの朱点八ツ髪戦ので役に立てなかった分を取り戻そうと、朱可が頑張ったのか、最後は会心の一撃で1300を超えるダメージを与えて、阿朱羅を打倒しました!
 …百歌家より楽に倒せたと思ったのは、進言絶対採用じゃなかったからでしょうか。

【戦歴】
 七枝”双光しのぶ斬・しのぶ猛毒刃・しのぶ鏡返し・大明間旋風”復活
 朱可”夢恵果音頭”復活
 朱点童子・八ツ髪・阿朱羅打倒

 1月→2月 志誠と、イツ花と、討伐隊

 討伐隊が出立してから、志誠はすぐにイツ花を町に使いにやり、都を出る支度に必要な物を買ってこさせました。
 そして、屋敷の奥に大事にしまってあった、術の巻物・職業の指南書・奥義の巻物を全て燃やしてしまいます。一族が持つ巻物・指南書が全ての原典でした。昼子は「いずれ…悲願達成が行われる時に、それは天に返しなさい」と百詠家の当主に命じていました。術の巻物は元々は神々が持つ力を人間にも使えるように…と分け与えたものでした。原典から書き写されて京の都では多くの人間が術を使えるようになっていましたが、昼子は人間が一端とはいえ神の持つ力を使えるのは望ましくないと思っていました。そこで、一族に術の原典を全部集めさせて、天に帰させようと思ったのです。原典が無くても、写しの巻物があるので、まだ術は使えます。ただ、原典が地上に無くなった事で、術を使いこなせる人間は徐々に減っていくだろう…と昼子は考えました。コピーは所詮コピーです。
 燃えていく巻物を眺めながら、志誠は、珍しくぼんやりと、悲願達成後は私達はどうなるのだろう…と考えていました。

 一月も終わりに近づき、志誠は、二人同時に家を出るのは近所に怪しまれるかもしれない、と言って、イツ花を先に出立させました。自分はその日の夜、闇に紛れて出立するつもりでした。
 「しのぶ様…お気をつけて」と自分の心配をするイツ花に、志誠は珍しく表情を和らげて、「私よりも自分の心配をなさい、イツ花」と返事をします。「でも…」と、心配するイツ花に「短い間だったけど…」と、志誠は言葉を続けます。
 「よく仕えてくれて、ありがとうイツ花。狩火と幸せになるのよ?」
 「そ、そ、そんな、最後のお別れみたいな言葉言わないで下さいよう…!」
 赤くなりながら、慌てて反論するイツ花。
 「そうだったわね、でも、何となく伝えておきたくて…さ、早く行きなさい」
 志誠はイツ花の背中を押して、送り出しました。

 それが、イツ花が志誠を見た最後でした。

 志誠はそれから半時ほどして、阿部清明の先導を受けた京人達に「朱点童子の手先」として捕らえられてしまいます。相手が、鬼や式神ならまだ戦いようがありましたが、家を襲撃したのが一般の京人と言う事で、攻撃を躊躇っている内に捕らえられていました。
 志誠が秘密裏に京を出る算段を整える準備をしている時、阿部清明は秘密裏に討伐に出て手薄になっている百詠家を襲撃する計画を立てていました。もう、京の都を見限るつもりでいて、あまり京の都の情報収集をしていなかった志誠のミスでした。捕らえられ、牢獄へと繋がれた志誠は、足元を掬われたおかしさに苦笑をします。こんなことで…こんなにも容易く、私の計画は狂うのか、よりによって鬼ではなく人の手で、と。
 驚いたのは、百詠家を利用しようとしていた朝廷の貴族達です。慌てて志誠を牢獄から出そうとしますが、当の志誠が「私が疑わしい、と京の都の方々がおっしゃるのならば、どんな詮議も受けましょう。手出しは無用です」と、頑なに牢から出ようとしませんでした。

 捕らえられて2日後、志誠は自分の額から呪いの印が消えた事に気付きます。
 「ああ…あの子達は、勝ったのか…」
 呟いて、薄く微笑みました。
 朱点を倒した喜びを、皆と分かち合えないのが残念だ、と思いながら。どうか、自分を助ける為に、京の都へ戻ろうなんて思わないで…逃げて、生きて、と志誠は願いました。


 一方、阿朱羅も倒して、イツ花と合流した討伐隊は、志誠が京人に捕らえられてしまった事を知ります。
 「私が…後に残っていれば…」と、泣き顔のイツ花。
 すぐに京の都に戻り、母親を助け出そうと言う朱可を制して、桃織は手はず通りこのまま逃げると宣言します。
 「何故だ!」と反論しようとする朱可をくららで眠らせて、桃織は皆をせかしてその場を離れました。
 志誠は、もし、自分やイツ花が討伐隊と合流できなかった時の事も、桃織に頼んでいました。「あなたには、辛い役目を負わせるかもしれない…」志誠は頭を下げます。そうなった時に、朱可の事が一番心配でした。自分をなんとしてでも助けに行こうとするだろう…と思いました。
 「もし、誰かが合流できないとしても、朱点を倒して時点で、予定通り逃げて欲しい。反論する者が居たら力ずくでもいいから、逃げて」
 「朱可の事…ね?」桃織は、志誠の顔をじっと見つめました。  志誠は頷きました。
 「私はあの子に、あまり、親らしいことをしてあげられなかったから…せめて、呪いの無い人生を生きて欲しいと思っている」
 来訪時の朱可の素質はあまり良いものではありませんでした。志誠はその事に少なからずガッカリして、けれど、討伐で皆の足を引っ張らないようにと厳しく育てました。朱可は幼少期に母親に甘える事が出来ず、厳しく美しい母に憧れと、恐れを抱いて成長しました。気付いた時には、親子らしい交流をしないまま今まで来ていました。
 「…けれど、もし…無事に悲願を達成して、皆と合流できたら…あの子を抱きしめて『あなたに会えて本当に良かった』って言いたい…」と、志誠は、ぽつりと呟きました。
 「私の責任、重大だね」桃織は、苦笑しながら、朱点打倒とその後の事を引き受けたのでした。
 だから、桃織は「一族を守る」と言う事を常に最優先に行動するようになります。


 朱点童子が倒れてから、しばらくは鬼の残党が残っていた為、京人は朱点童子が討伐されたと言う事に気付けずにいました。朱点が居なくなり、鬼達が徐々に減って行き、あまり姿を見なくなるまでに一ヶ月ほどかかりました。
 これはどういう事だ、と、牢獄に繋いだままの志誠に事情を問いただそうと、朝廷の貴族と京人が牢に向かいましたが、志誠はすでに牢の中で生を終えていました。丁度、1歳6ヶ月になった月でした。
 百詠家の額の呪いの印は、元服(8ヶ月)までは一族の体に色々な影響を及ぼし続けます。体の値が若い頃に上がるのもその影響です。そして、8ヶ月(一族によってはちょっと遅くなる場合もありますが)で交神の儀を行う際に禊を行うので、少しだけ体への影響が薄まります。そして、1歳前後になると、今度は呪いなしでは生きられない体へと徐々に作りかえられていきます。体を蝕んでいた呪いが、体を生かそうとし始めるのです。けれど、一族が強くなればなるほど、呪いも強力なものになっていく為、肉体は呪いに蝕まれて、一族の寿命はどんどん短くなって行きます。強すぎる薬が毒になるように。 呪いが消えたことで、志誠の体に蓄積された呪いの毒に体が耐え切れなくなっていました。イツ花や昼子が居れば処置のしようがあったのでしょうが…。呪いの毒の解法もすべてイツ花に預けていました。

 志誠は死後、氏神昇天しました。

 

 天に上がった志誠を父母が出迎えましたが、志誠は最初、人間に対して深く絶望していたので、氏神となる事も輪廻の輪に戻る事も拒否して、魂ごと消滅してしまいたいと、父母(両方とも氏神)に言います。
 困り果てた父母に、助け舟を出したのは、意外な事に、志誠の交神相手の氷ノ皇子でした。
 俯く志誠に「私もな…かつて人間に絶望し見限っていたのじゃ…」と語りかけます。「そんな私に熱い心を取り戻させてくれた君たち一族が、私を解放してくれた君がそういうことを言うのか」と、消えてしまいたいと言う志誠を引きとどめます。交神の時、志誠は「天界最高位の男神だから」と言う理由で氷ノ皇子を相手に選んだだけで、特に恋愛に発展することも無かったのですが、皇子の方は始終物静かで冷静だけれど、どこか危うい志誠の事が気になっていました(単純に一目惚れ/笑)。
 両親と暮らす志誠の所に通いながら、少しずつ頑なな志誠の心をほぐして行っています。皇子は古い神で時間を急ぐと言う概念がありません。性格も情熱的なのですが、どこか天然入ってる印象があるので、のんびりしていて百年位かかるのではないかと思ったり。
 七枝や桃織達が、やがて地上での生を終え氏神として上がる頃には、人界の人の営みを見守りながら、人間について考えている途中で、まだ考えが纏まりっていません。
 それから更に数年後、地上をぼんやりと覗いていた志誠は、一人の人の子に目を留めます。面差しがどことなく朱可に似ていました。それは、南方に渡って行方知れずとなっていた朱可の子孫でした。

 生存面子の、その後

 悲願達成後、一族(討伐対面子だった、狩火・桃織・朱可・七枝と途中で合流したイツ花)はそのまま西の方(恐らく山口辺り)へと逃げ延びます。朝廷からの追っ手を恐れて、しばらくは山奥に皆でひっそりと隠れ住んでいました。
 その後、そこそこ力を持っている反朝廷派の領主に拾われ、桃織はこの領主に雇われて隠密のような仕事を請け負って生計を立てて行きます。近隣領主との小競り合いの戦の参加から、諜報、暗殺、色仕掛けで敵の懐に潜り込んだりする事まで、桃織は何でも引き受けました。いわゆる忍者のような存在です。そして桃織は、彼女の持つ自分の持つ力の全てを領主の為に行使する代わりに、他の一族(狩火・イツ花・七枝)(この時にはもう朱可は一族の前から姿を消しています)には一切、手を出さない約束をさせます。
 又、身体の能力の高さ(拳法家)も買われ、領主に雇われている武士達に体術を教える指南役も引き受けます。こうして、裏も表も桃織が百詠家の顔になっていきます。
 領主の下、桃織は百詠家の領内での立場を磐石な物にして行きましたが、いざと言う時の為に、領内の町の中には住まず少し離れた山の中腹に居を構えました。表面的な所はともかく、根本的な所で人間を信じていません。領民は最初、白くて赤くて何だか不気味な一族…と言う目で見ていましたが、桃織とイツ花が努めて明るく接していたので、段々と受入れられていきます。やがて、狩火は町の道場で子供達に剣術を教えるようになりました。そうして、少しずつ、領民に受入れられながら生きて行きました。

 百詠家の生き残り面子は、自分達が不幸だとは思っていません。後悔する事は沢山ありましたが、家族が元気で居れば幸せでした。

 各一族名の横の年齢は悲願達成月の年齢と、一般人に換算した年齢です。
 百詠家では、来訪時が0ヶ月=5歳。初陣時の2ヶ月=10歳程度です。その後、成人までは一ヶ月で1、2歳位の速度で成長します。元服時には16〜18歳になっています。元服後は個人差もありますが、一ヶ月に大体1歳位の速度で成長して行きます。

・狩火(1歳/22歳)
 イツ花と夫婦となり、静かに暮らしています。
 呪いが解けた時に1歳だったので、一番呪いの影響が体に残っていた子です。その為、呪いが解けた後はあまり体が丈夫ではありませんでした。妹の桃織に家の全部を背負わせて、恐らく、領主の命で人に言えないような事にも手を出している妹の助けになれない自分にとても悔しい思いをしていました。せめて一族が領民に受入れられる手助けになりたい、と体の調子の良い時は、町の道場で子供達に剣術の手ほどきを行うようになりました。
 遺言が「反省と後悔ばっかで、みっともなくて惨めだったし、楽しいことも少しはあったけど…」だったので、妹に全てを背負わせて自分だけ幸せになって…と言う後悔から出た台詞だったのかな、と思います。イツ花はそんな悩む狩火を側で持ち前の明るさで支えていました。狩火の方がイツ花よりも先に亡くなります(恐らく40代半ばで)。イツ花はその後も、桃織と七枝の世話をする為に、百詠家に残りますが、彼女は昼子の式として作られた存在で、昼子からの力の供給も途絶えていたので、狩火が亡くなって数年後に消滅します。最後まで桃織と七枝の事を案じていました。
 狩火が亡くなった時、氏神昇天させるか否か…と言う話が出ましたが、百詠家の氏神達が(主に両親である忘路と三輪さんが)、人としての生を全うしたのだから、そっと眠らせてあげて欲しい、と昼子に願い出ています。昼子も自分の交神相手だった狩火には少し思う所があったようで、その願いを聞き入れました。

・桃織(7ヶ月/17歳)
 実質の当主のような立場です。一家の大黒柱。
 一族以外の人間の事は基本的に信用していなかったので、領民に対しては、寄るもの拒まず去るもの追わず、利用できるものは利用する、と思っていました。
 後に子供を3人産みますが、全員父親が違います。その辺りは本人はあまり気にしていません。相手の男性の事は、好きでも嫌いでもありませんでした。そもそも、桃織には「人を愛すると」いう事がよく分からないままでした。男の人と付き合ってる時は、自分ではそれなりに真面目に付き合ってたつもりですが、別れる時に「ああ、私はこの人を好きじゃなかったんだ」と気付く程度で。短い周期で違う男性と歩いている事が多いので、領民からは恋多き人物と思われていました。3人目の子を産んだ後は、自分は多分、人を愛せないのだと気付いたので、それ以降は男性とおつきあいをすることはやめました。
 子供を産んだのは、いつか、自分が何かで七枝より先に亡くなった時に、七枝を守る存在が必要だ…と考えたからです。桃織にとっては子供達は「家族」ではなく、自分の血を分けた自分の分身に近い感覚です。そして桃織は、神々から受け継いだ自分の力の事は、呪いのようなものだと思っていました。いつかまた、朱点のような鬼が生まれるかもしれないこの血が、自分の一族だけでなくもっと広がって、国中に広がって皆、呪われればいい…と、思っている節もありました。けれど、桃織の子供達は彼女ほど強くはなりませんでした。彼女の血は広がりますが、力の強さは代を重ねるごとに薄まって行きます。
 一族の中では一番長生きで、最後まで一人生き残り、60前に亡くなりました。
 その後、先に氏神として昇天していた七枝に請われて”百詠太陽母”として昇天。昇天直後に昼子のもとに襲撃をしかけて、昼子の館には出入り禁止となります。以降、七枝と二人でひっそりと暮していました。
 数年後、七枝に分社の話が舞い込みます。何故か分社の話を受けると言い出した七枝に説得されて、桃織は渋々と七枝を送り出しました。更に時は流れ、いつしか七枝からの便りも途絶えました。
 やがて、志誠が行った行動をきっかけに、桃織は二度目の昼子襲撃を行います。

・朱可(5ヶ月/15歳)
 最初の数年は皆と一緒に暮らしていましたが、一族が住まいを決めて落ち着いた頃に、突然姿を消しました。その後、南の方に一人で流れて行って、しばらく九州を放浪します。流浪の旅芸人と知り合って、主に踊りで生計を立てていました。九州辺りだと朱点童子の話もどこか遠い国の話…のように思われていて、朱可は自分の事を「異国から流れてきた」と言っていたので、朱点童子を倒した鬼狩りの一族とばれることはありませんでした。最終的には海を渡り、琉球近くの島を転々とします。やがて、どこかの島の部族の娘に気に入られて、娘が一人生まれます。夫婦仲はそこそこ良かったようです。
 遺言が「あの世で俺が幸せそうなら声かけねぇでくれ…」だったので、やっぱりこの子もずっと後悔していて。特に母親を助けられなかった事でとても後悔の念を抱いていました。そして、桃織の事を少し恨んでもいたのだと思います。けれど、自分の娘が生まれてからは、自分に「生きていて欲しい」と思った母親の志誠の気持ちが、少しだけ分かったような気がしました。それを伝えようと、桃織に謝りたいとも思いましたが、朱可が他の一族と会う事は二度とありませんでした。
 俺屍界の神々の影響が京からどの範囲まで届くのか分かりませんが、琉球に近くなると108神の影響はあまり届かないような気がするので、朱可が亡くなった時は一族の氏神達と会うこともありませんでした。

・七枝(2ヶ月/10歳)
 成長しても、人に触れると人の心がわかる能力は健在だったので、あまり出歩く事はなくひっそりと生活していました。イツ花や桃織に連れられて何度か町に出たことはありますが、人が多くて気疲れしてしまうので、あまり好きではありません。
 やがて、山にたまに訪れる猟師の青年と恋仲になり、結婚を申し込まれます。七枝は、夫となる人に隠しごとはしたくないと思い、包み隠さず自分の能力について話しますが、相手の青年は、逃げ出し、その日以来、七枝の元を訪れる事はありませんでした。七枝はこんな薄気味悪い異能持ちの自分が、いつも他人を頼ってばかりの自分が、誰かと心を通わせたい…幸せになりたいなんて浅ましい。だから、罰が当たったと思いました。
 恋人が自分の元から去った後は、町に出る事も全くなくなりました。イツ花から家事全般を習い、イツ花と分担して家事を引き受けました。家の中と周辺でならば何不自由なく生活が出来ます。  桃織に子供が生まれてからは、その子供達を育てる役目を引き受けます。もし先に自分が居なくなっても、桃織の子供達が彼女の支えになるように…としっかり育てます。お陰で、桃織の子供達は母親思いの良い子に成長しました。
 七枝は、桃織よりも先に、40代半ばで亡くなりました。
 死後、昼子直々の命により氏神として昇天しました。
 遺言が「あの世で踊りと小唄を習いたい…」と言うものだったので、氏神昇天後は、恵果(生前が踊り屋)と鳴かず弁天辺りに踊りや歌を習い、かなりの腕になっています。舞いは無心になれて、歌は心を慰めてくれるので、好きです。
 氏神昇天後は、制御できない自分の力をどうにかしようとして、自分の方が心を閉ざせば、少しの間だけは相手の思考を読み取らずに済むと言う事に気付きました。けれど、それ以上の解決策はいまだに見出せないでいます。だから、出来るだけ他の氏神とも108神とも行き来をしないようにしています。ただ、弟の七穂とその兄貴分の岳だけは子供でそんな七枝の意図を気にせずやってきて七枝を怖がらないので、たまに一緒に遊んでいます。祖母に当たる三輪さんが自分の事を気にかけてくれるのは有り難いと思いながらも、申し訳ない気持ちが先に立っているようです。自分の異能の力については、三輪さん血の所為だけではないと言う事だけは、はっきりと三輪さんに伝えています(七枝の能力は最高神である昼子の力の所為もありますので)。
 氏神昇天については、母神である昼子の命だったのでそのまま受入れました。ただし、自分のような力を持つ人間が誰かの役に立つとは思えない…又、誰かに受け入れられるとは思えない、と思っています。桃織が亡くなった時に、彼女の氏神昇天を願い出たのは七枝です。ずっと自分や家族の為に犠牲になってきた桃織が、どこか誰か愛する人に出会えれば…と思ったのですが、当の桃織は自分の側を離れたがらないので、困りつつ桃織が側に居ると心強いので離れられない…と言った所です。
 数年後、七枝に分社の話が舞い込みます。最初は何かの間違いだと七枝は思いました。そうでなければ自分の素質を見ただけで、この気持ち悪い自分の能力を知らないまま分社を希望してきたのか。けれど、昼子は「あなたの事情を全て承諾の上で分社を、とお話が来ました」と言います。百詠家の昼子は、力を持つものが、その力を求められたら応じるのは当然だという考えの持ち主です。百詠家の天界において、昼子の言葉は絶対です。けれど、七枝は分社の話を中々承諾しようとしませんでした。そんな七枝に昼子は「そうやって、この天界でいつまでも、桃織の影に隠れて安穏と暮らすつもりですか」と厳しい言葉を投げかけました。
 七枝は、自分の存在が桃織が幸せになるのを妨げていることに、うすうす気づいてはいました。このままではいけないのだと、本当は離れた方がいいのだと、分かってはいました。昼子に指摘されて、七枝は最終的に分社の話を受けることにします。桃織は最後まで七枝の分社に反対しましたが「私の力でもお役に立てることがあるなら、嬉しいと思うの」と言う七枝に押し切られて、渋々と七枝の分社を承諾しました。
 分社先から、たまに桃織の元に便りが届きます。けれど、七枝が里帰りをすることは一度も無く、いつか(恐らく七枝が交神を行った辺りに)便りも途絶えます。


 最後の子

 最後に先月に昼子と交神した、狩火の子ですが…

 

 拙宅一周目・七家の初代の長男「七秀(ナナ・ヒデ)」の名前より、七秀→「ナナホ」とも読める→七穂で、名前を考えていたのですが…。本当に、秀顔が生まれて来た件…ちょ…PSP?!(苦笑)
 素質点は4112点。完全に親の良い素質を継いだら、オール火で生まれるのですが、ここはやはり火髪風肌か、火髪風目は外せない…!(秀は火髪風目風肌でした)と思って、このカラー(火髪火目風肌)に落ち着きました。

 来訪前に一族が悲願達成してしまったので、七秀はそのまま天界に留め置かれる事になりました。忍空・川霧の所で七秀を預かって育てています。あそこには、ちょうど近い年頃の子(岳)が居るので。…あと、七英顔の忍空が、七秀顔の七穂を育てると言う中の人だけがオイシイ設定になりました(笑)。
 兄貴分に弄られながら、すくすくのびのびと成長しています。天界育ちなので、地上の事は知識として知っているが、経験としては知らないので、かなりの世間知らずに育ちそうですが。



 さて、この七穂が、拙宅の百人一首一族最後の子となります。百首・百歌・百詠家…とプレイして来て、三家で総勢108人。百首家のプレイを始めたのが、2010年の3月位で、間に京極チームのプレイが入ったので…一年半程度でしょうか。楽しかったです。
 あたりまえの話ですが、それぞれ違った風合いの一族になったなぁ…と思いました。そして、最後の百詠家が人数少ない分なんだか一番濃かったです。引き出しの少ない妄想力を一生懸命あちこちから引っ張り出してましたが、まだ全然書き足りないなぁ…と思います。
 では、俺設定満載のプレイ記におつきあい頂きありがとうございました!


 …実はまだ、「下の句」が残ってる…なんて、ひっそりと思ってやしないですよ?(苦笑)


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